2020/10/21 22:58
続き
〔本当はずっと待ってたんだ。
でも、どうやって受け取ったら良いか…
受け入れ方を忘れてしまっていた。
孤独を選べば傷つく事も苦しむ事もない。
でも孤独を選んだから感情を無くしてしまっていたんだね。
寂しいとすら思えなくなっていた。
ワタシをこうさせた周りが悪いんだ…と
ずっと思いこもうとして楽になろうとしていたんだ。
でも、感情をまた手にする事ができた。
キミがずっとココで待っていてくれた事で救われ始めたようだった、ありがとう。
見捨てないで待っていてくれてありがとう。〕
「僕はありったけの優しい風を彼に渡したんだ。もう孤独では無いよって伝えたくてね」
『喜んだでしょ?』
「うん。そしてね。もう扉は要らないから、扉を一つずつ外し始めると言っていたんだ。少しずつ、外の世界を受け入れ始めてみるって言ってた。
でも、何重にも扉を作ってしまっていたから、時間はかかるだろうって笑って話してくれたよ。」
『それでも、最後までやりきれると良いね』
と、私は伝えた。
「一つずつ丁寧に外してみると言っていたけど。きっと立ち止まる事もあるだろうね。
その頃にまた会いに行ってみるよ」
風はそう言って優しく笑った。