2020/11/08 09:45

過程を思う事で大切にできる。

目の前にただ有るのではなく、そこにたどり着くまでの過程を考えてみる事で見方が変わる。



草原の中に大きな湖が見えた。

見渡しても風は見当たらなかったから

とりあえず私は

湖の反対側に見える大きな一本の木を目指そうと水のほとりを歩いた。

歩きながら湖をフト覗くと

水が澄んでいて底まで透き通って見えた。


『綺麗な水


私はそっと手ですくい水を口にした。

甘くて優しい味がして体が満たされた。

水を飲み終えて、顔をあげ水面をみると

水の上を小さく動く姿が見える

何だろう?と目を凝らし見つめていると

何かがコチラに向かってくる。


「ねぇ、ねぇ?

アナタが風の精と一緒にきたの?」


『そうだよ。あなた達は何?』


「私達はね、ココの水の精。

綺麗な水を保って守っているの。

水は沢山の生命の源。

私達はとても大切な役目を任せられてるの。

みんな水がなければ生きれないでしょ?

だから皆にキレイな水が行き渡るように私達は役目を果たしているの」


『そうなんだ。あ、ごめんなさいいま勝手に水を飲んでしまってあまりにも綺麗な水だったから、ついごめんなさい』


「いいんだよ。みんなのものだからね。

必要だからココにあるんだから、飲んで貰って良いんだよ」


『そう言って貰えたら良かった。

美味しい水だったよ。ありがとう』

と、私はお礼を伝えた。


「そうやって感謝されたら嬉しい。

私達のしてる事が認められて嬉しいよ。

ありがとう。」

水の精は、そう言い喜んでいた。


『それにしても、本当に綺麗な水だね』


と、湖を眺めながら私は呟いた。


「そうだよ。水はね、沢山旅をしてココに今あるんだよ。

大地にいた水は太陽の力を借りて空に昇り、雲に変わり、雨となるんだ。

再び大地に降りてからも、沢山の力が加わっているから綺麗な水となっているんだよ。

だから、ただココにある訳じゃないから綺麗なんだ。

私達もソレを知って欲しくてこうして伝え続けてる。

それを知った皆が、こうして大切に扱ってくれてるからこそ綺麗に保たれているの。」


『私が飲ませて貰った水に、

そんなに沢山関わっているの?』


「そうだよ。最初からココにある訳じゃないよ」


『その関わりやココに至るまでを思ったら、

もっと大切に感謝して飲まないといけなかったね。』


「大切に思って貰えるだけで、水に関わった全てが喜ぶよ。ありがとうと、大切に使おうと、そう思ってくれるだけで、私達は嬉しい気持ちになれるんだ」


水の精達は、笑顔で教えてくれた。