2021/02/20 17:19

8.諦めない気持ちは大切だけど

1つに執着し過ぎて
周りが見えなくなり過ぎると
いつの間にか大切なモノを失ってしまう。
そうならない為に周りの助言を聞き入れられる余裕や周りを思いやる気持ちは意識して持ち続けなければならない。


「ねえ見て!あそこの木!花が咲いてる」

『え、どこ?』
風が教えてくれたけど
私は遠すぎてよく見えなかった。

「あそこだよ。やっと花が咲いたんだ。
 良かった!何て嬉しいんだ!
 先に行って会ってくるね」
風が急にスピードをあげて行ってしまった。

私も何が何なのかよく分からないまま
とりあえず急いで後を追った。
暫く行くと
とても鮮やかな桃色の花びらが急に
私の周りを舞った。
風が花びらを運んでくれて私の周りをクルクルと舞ってくれていた。

『何て綺麗なんだろ』

「ね!凄く綺麗だよね!
 下に落ちてしまった花びらたちを
 集めたんだ。この花びら達は土にかえり
 またあの木に戻っていくよ」

風がサスその先には二本の綺麗な桜の木が佇んでいた。私はその木に挨拶をしようと風と共に近づいた。
『初めまして。とても綺麗な花ですね』

桜の木は穏やかに話した
〔ありがとう。わたし達が
 ずっと待ち望んでいた花が
 やっと咲いたの。
 こんなに素敵な花が咲くとは思わなくて…
 本当に嬉しい!諦めずにいて良かった〕

「そうだね。
 諦めなかったから咲いたんだよ。
 良かった!僕も本当に嬉しい!」

風は桜の木にそう言いながら
何度も何度も嬉しそうに木の周りを舞った。

風は私にも経緯を話してくれた
「この木には長い間花が咲かなくてね。
 鮮やかな葉はなるんだけど
 花を咲かせたくても咲かない木達は
 何故だろうばかり言って
 ただ待ち続けてたんだ。
 近寄る鳥や動物達にも
 花が咲かなくなるから
 葉や実を食べないで。と言い出してね。
 そのうち、せっかくなる鮮やかな葉も
 花ばかり待ち侘びる木には必要無いの
 かと思いだし、
 葉もならなくなっていった」
 
『え?そんなに花に執着してしまったの?』
私は桜の木に思わず聞いた。

〔そうなの…
 周りの木には花がなってるのに
 何故、私達だけならないんだろうと
 焦りや不安が増していって
 他を思いやる気持ちすら失ってしまい…
 皆にとても悪いことをしたわ…
 そんな時に風がきてくれたのよ〕
桜の木は申し訳なさそうに言った。

「そうだったね。
 僕に教えてくれたのは鳥達なんだ。
 鳥達は桜の木を心配して
 教えに来てくれたんだよ。
 だから、その事を桜の木に
 教えにきただけなんだ。」

〔でも、それが大きなきっかけになったの〕