2021/02/21 21:58
9.浮き沈みは誰にでもある。
そんな時にも些細なコトで先が開けて見えたり、頑張ろうと思えて、また気持ちが上がり始めていく。些細なきっかけに気づいたら
そのまま見逃さずに、無駄にしないように
掴めるように。
桜の木は穏やかに話し始めた。
〔私達はとにかく花を咲かせたくて…
でも何故咲かないのかが分からなくて
周りが葉や実を食べてしまうから?
土に栄養が足りないから?と、
とにかく理由を見つけようと
してたんだけど…
今思えば、結局は
周りのせいにばかりしてしまって
皆んなを傷つけてしまって、
本当に申し訳なかったわ〕
『そうだったの…』
〔そんな周りが見えなくなっていた時に
風がきてくれて、鳥達が私達の心配を
してくれてる事を教えてくれてね。
初め聞いた時には
私達は追いやったのに、
心配をしてくれてるコトに驚いて…〕
「そうだったね。
鳥達は自分達が追いやられたとは
思っていなくて、ただ、ただ
桜の木が孤独になって枯れていくコトを
心配していたんだ。
鳥達が言うには、
私達には他にも食べ物を分けてくれる所が
あるから心配いらない、だけど
大好きな桜の木が孤独になって枯れていく
のが見ていられないんだって
教えてくれたんだよ。
僕に何が出来るか分からないけど
伝えてあげなきゃと思って
駆けつけたんだ」
『鳥達は、桜の木が本当に
心配だったんだね』
〔そうね。有り難いことだわ。
私達はいつの間にか自分達のことしか
見えなくなって、今まで大切に
してきた全てを無くしてた事にも
気付けずにいたのね。〕
『でも鳥達の想いが届いて良かった』
〔いいえ、最初は聞いても、
どうせ私達の気持ちなんて分からないわ、
とか、マイナスにしか捉える事が
出来なくて、皆が敵にしか見えないという
感じかしらね…
でも風がただ話を聞いてくれて
寄り添ってくれてる間に
こんな私達の所に皆も集まってくれて、
次第に気持ちを取り戻したのよ。
そうして、やっと、
ごめんなさい
と
ありがとう
が素直に皆に伝えられたわ。
風が立ち直る
きっかけを運んできてくれたのよ。
ありがとう。〕
「僕は、ただ
桜の木の辛さや悲しみや
全ての本当の想いは
桜の木にしか分からないと思ってるから
ただ、ただ、
話を聞く事しか出来ないしね。
その想いを出すことで
楽になるかと思ったから、
聞いてただけだよ。
後は皆の想いが伝わったんだよ」
『素敵な仲間がいる事に
気づけてよかった』
〔そうね。大切なモノは近くに
沢山あった事に気付けたわ。〕
『きっかけを無駄にしなかった桜の木も
素敵だと思うよ』