2021/03/27 07:56

15.楽しむ事が上達への近道なのは皆が知っていたこと。しかし、

上手くなりたい気持ちから始まった事が、
いつの間にか上手くならなければ。と、
勝手に色々背負ってしまい、
楽しむ事を忘れてしまう。
誰かに何かを伝える時も、
教えなければ、上達させなければ、と
互いの苦しみとなっては良くない。
何をするにも
自分が楽しむ心を忘れないで欲しい。




風と白い鳥の子は、楽しみながら空を自由に飛び回り続けていた。風は特徴を掴むのが上手で白い鳥の子はだんだん自分なりの飛び方をマスターし始めていた。

『少し休憩したら?』
と、私は声をかけた。

白い鳥の子は楽しくて
なかなか休もうとはしない様子だったので
風が先に降りてきた。
それを見て白い鳥の子も諦めて降りてきた。

『凄く上手になったね』
と、私が褒めると白い鳥の子は恥ずかしそうに羽をバタバタして見せた。

風も
「うん!とても上達が早いよ。
 自由に飛び回れる日も近いね」

白い鳥が、嬉しそうにお礼を言った。
〈ありがとう。本当にありがとう。
 こんなに楽しそうに飛ぶ姿を
 見れて嬉しい。
 わたしは早く飛べるように
 してあげなければと
 厳しくしてしまって
 この子の良さを伸ばしてあげる事を
 忘れてしまっていた。
 飛ぶ楽しさを教えてくれてありがとう〉

「いや、僕も楽しかったんだ。
 たぶん、一緒に楽しむ事が
 大切になってくるんじゃないかな。
 一緒になって楽しんだり、
 一緒にどうしたら飛べるか考えたり
 少し出来た事にたいしても
 一緒に喜んだり…
 良くしなければ。とか
 教えなければ。と
 肩に力が入ってしまうと
 教わる方も緊張してしまうしね。
 それに一緒に楽しんでると
 同じ目線になるから、
 こうした方が良くなるなぁって
 見えてくるんだ」

〈そうね…わたしは楽しめてなかった。
 周りと同じように…とばかり考えてしまい
 わたし自身が苦しかった。
 ありがとう。楽になれた。
 わたしも一緒に楽しんでいいのね。〉

白い鳥はスッキリした面持ちになり
子と楽しそうに練習を始めた。